- 第8回 超異分野学会 本大会
【第8回大会ダイジェスト】未利用資源を活用した食料生産
2020.02.18
左から:リバネス・宮内陽介(モデレーター)、アーステクニカ・萱場時男氏、
ファーメンステーション代表取締役・酒井里奈氏、アグリみと・草野祐一氏
未利用資源を活用した食料生産
<2019年開催・第8回超異分野学会ダイジェスト>
農業には、まだまだ潜在的な可能性が眠っています。例えばその一つが、従来は「処理が必要な廃棄物」だった草木類の未利用資源を有効活用することで、さらなる食料生産を生み出すという取り組みです。
本セッションでは『未利用資源を活用した食料生産』をテーマに、木質片などを資源化する技術を持つ企業、発酵技術による循環型社会の実現を目指すベンチャー、中山間地域における農業の可能性を追求する生産者、という3者によるディスカッションをお届けします。
第9回超異分野学会は2020年4月23日にオンライン開催します。
独自の機械で未利用資源活用の可能性を広げる
リバネス・宮内陽介
ここでは、「未利用資源を活用した食料生産」がテーマになります。川崎重工業様にセッションパートナーとしてご協力頂いています。
まずは私の自己紹介から。アグリガレージ研究所の宮内です。農業、農学の研究をずっとやっていて、その成果を実社会に生かせる方法がないかと考え、リバネスにたどり着きました。アグリガレージ研究所は「生産者の持つ可能性の最大化をめざして」というミッションを掲げて、生産者の能力を引き出す方法について研究しています。例えば、「屋内型植物工場で、生産を最大化するための環境についての研究」や、「露地やハウスでの収量向上や品質向上についての研究」もやっています。今回の「未利用資源を活用した食料生産」というテーマにも被る部分が多くあります。
さて、今回、未利用資源という切り口で、アーステクニカさんが持っている技術が非常に面白いので、その技術の活用をフックに登壇者の方々とディスカッションをしていきたいなと思っております。よろしくお願いします。
早速、パネリストの皆さんをご紹介に入ります。
アーステクニカ・萱場時男氏
みなさん、こんにちは。株式会社アーステクニカの萱場と申します。アーステクニカは川崎重工業のグループ会社で破砕部門を担当している企業です。千葉県の八千代市に工場を持っていて、一通りの破砕関係機器を製造しています。また、そこには破砕をテストする、実験処理場もございます。
今回ご紹介したい技術ですが、それは植繊機というのものです。一般名称としては、膨潤処理機と言われます。ものを小さくするときは、破砕をしたり、粉砕をしたりするんですが、この植繊機はちょっと違います。木質片を加圧、混練、解繊し、膨潤化します。膨潤化というのは木材に液体を吸収し膨張することですね。木質片は通常の破砕、粉砕では小さくすることはできても細胞がしっかりしているため微生物による分解はなかなか進みません。一方でこの機械では加圧、混練の工程の内に細胞に傷を付けて、そこに圧を加えることで細胞内の物質を外に染み出させる処理をするため、微生物がつきやすくなるんです。
つまり、微生物による発酵が非常に早く進む。そういう特徴があります。機械の構造は非常にシンプルで、先端にいくほどピッチが狭くなる1軸のスクリューがあって、材料は圧が加えられながら擦りつぶされて出てくるという形です。この機械で処理できるものは様々です。街路樹を剪定したもの、雑草、あるいは林地残材だったり、バーク(樹皮)それから農業の分野から出る稲わら、籾がら、農業残渣も、この機械で処理をできます。
今日は、未利用資源の話題提供として、この植繊機で処理した竹を持ってきました。竹は様々なところで未利用のバイオマスとしてありますけど、ちょっと特殊な存在でもあるんです。基本的には樹木なんですけど、樹木でありながら、イネ科の性質も持っています。実際に竹の成分を見てみると、窒素が少なくて、炭素がものすごく多い。針葉樹と同じで、非常に腐りにくいんです。何年たっても腐っていくのが難しいという面を持っています。
一方で、イネ科の性質も持っていて、成分を見ると以外にヘミセルロースが多いんです。要は多糖類系が非常に多いということです。ということは、厄介者の竹もうまく処理をすると、いろんなかたちで、資材として使えるんじゃないかと考えているんです。先程、竹は腐りにくいっていう話をしたんですが、植繊機で処理をすると、わずか数日で、微生物が繁殖してきます。すると、だんだんと堆肥に近い色になっていきます。竹はいろいろなところで、たぶん、やっかいものの形で存在していると思うんですが、この植繊機で処理すると、例えば、農業の資材だったり、他にもいろいろな使い道があるんじゃないかなと思っています。そこで、1度ちょっとみなさんに、この技術を見ていただいて。実際に竹パウダーにも触れていただいて、いろいろとディスカッションできればと思っています。
宮内
ありがとうございます。植繊機というものがよくわかりました。セッションのなかで、もう少し掘り下げていきたいなと思います。
発酵の力で未利用資源に価値を産み出す
宮内
それでは、ファーメンステーションの酒井さん、自己紹介をお願いします。
ファーメンステーション・酒井里奈氏
みなさん、こんにちは。ファーメンステーション、酒井です。
私たちも、未利用資源に注目をして、会社を運営しているスタートアップになります。「発酵で楽しい社会」をというミッションを掲げて未利用資源を発酵させることで事業を展開しています。英語だと、Fermenting a Renewable Society。発酵技術で、循環型社会を作る、ということを掲げています。私達が目指すのは、いろんな未利用資源を発酵させて、価値の高いものにする。さらにそれを、一般の方の手に届く形にする事業をしてます。こういう話は大規模化、安定した大量生産に舵を切るのが従来多かったんですが、それとは違って少量で高付加価値化することを行っています。
まず、私たちが注目した未利用資源は、田んぼです。現在、日本の田んぼの3分の1は、休耕田、耕作放棄地、または転作田ということで、有効活用されてません。一方で食生活の変化から米の消費も低迷しているというのが、日本の現状です。
そこで、全然違うことをしながら、使ってない田んぼからどれだけ収益を上げるかという挑戦をずっとしています。岩手に私たち専用の田んぼがあります。すごい草ぼうぼうで、稗とか生えちゃってるんですけどいいんです。無農薬でこないだJAS有機農認証も取ったんです。そこでは「つぶゆたか」という餌用の非食用米を栽培をしてもらってます。これを発酵して、蒸留して、エタノールを作ります。エタノールは、バイオ燃料にもなるんですけど、化粧品原料にもなるんです。採算を取るために価格の高いものから攻めよう、ということでバイオ燃料ではなく、化粧品とか香水とかの原料として私たちは売ってます。
私たちのエタノールは、100パーセントトレース可能で産地が明確であり、ちょっといい香りがするというのが特徴です。従来のエタノールって、石油由来のものか、さとうきびか、とうもろこしが由来です。安定した、すばらしい工業製品であることが求められていたがゆえに、産地が分からないんです。私たちのエタノールはトレース可能で産地が明確というのを特徴として、1番高い場合、1リッター、2万5000円で買っていただいています。これ、ちょっと、分かんないかもしれないんですけど、エタノールは安い場合リッター100円とかになるので、すごい付加価値を見てもらっているんです。そのエタノールは化粧品の原料として、すでに大手さんのプロダクトとして使っていただいてます。
今でこそいろいろな取組が出来ていますが、「そんなエタノールなんて、誰も買う人いないだろ」ってずっと言われていました。ただその価値を示すために、自社ブランドを作って、化粧品を作って、売る、というような取り組みもしてきました。実際、商品作って、ブランディングして、店頭に立って、販売して。そうすると次第に伊勢丹とか、銀座とか、丸の内とかにも置いていただけるような商品になりました。
その様子を見て、大手の雑貨メーカーさんや化粧品メーカーさんがうちの原料とストーリーを使ってオリジナル商品を作って売るという形が出来てきました。サザビーリーグさんとかJRさんとかですね。これが今では弊社の売り上げの柱となっています。
あとは、発酵して蒸留すると、粕が残ります。これ、粕だからゴミかなあと思うかもしれないんですが、実は宝の山なんです。今、NEDOの研究費をいただいて分析をしてます。ちょっとまだ言えないんですが、「これは」っていうような機能性物質が、けっこう出てきていて、この研究をどんどん進めようと思ってます。今は、化粧品原料として売ってるんですが、将来的には、機能性のある物質ということで、食品原料とか、サプリの原料にするつもりで開発を進めてるところです。ただ、蒸留粕はとにかく出る量が多くて、さらなる活用方法として、飼料化にも取り組んでいます。鶏や牛のエサにするんですね。それらの餌を食べた肉を売るようなこともしています。
今日このセッションのテーマは未利用資源というお話だったんで、最近取り組んでいることでいうと、すごく頑張っているのは雑穀です。雑穀の、糠、稗、アワ、キビで、機能性のあるオイルが取れています。そのオイルの出口も現在探しているところです。最近では米に限らず、いろんな原料を発酵して、エタノールを作って、プロダクトにしています。さらに、その粕もどんどん付加価値をつける。そして、地元の人と一緒に、例えば、ニワトリの糞を田んぼと畑に入れて、ごみゼロにする、というような取り組みをしてます。
そんなことをしてたら視察とか取材が増えて、人が来るようになったので、ここでも、しっかりお金を取ろう、ということで、地域に人を呼び込むような、ツアーとかイベントみたいなこともしてます。
この様に話していると、事業としては、ちょっと儲かんないんじゃないの?って思われる方も、いらっしゃるかもしれません。ですが、今、市場のニーズは、食品も雑貨も化粧品もすべて、少量、多品種、カスタマイズです。これは絶対変わらないと思ってます。そういうところに対して、ドンと大きいものを安く作るんではなくて、オリジナルの原料を、お客様に応じて出していくということをしてます。
私たちのコアの技術は、強みが3つありまして。1つ目は、ノウハウです。知財というよりも、いろんな原料を最適化して、出口に合わせたものを作ることができます。それをベースに、事業を展開してます。2つ目が装置です。これは、リバネスさんにもご協力いただいて、町工場の方の知恵を使いながら、さらに進めたいと思っています。私たちは大量に作って売るビジネスではないので普通に売ってる装置を使ったらできないんです。なので、ニーズに応じた、小型で機動性の高い装置を作っていきたいと思ってます。最後は、ちゃんとビジネスとして成り立たせ、事業化するときの出口を人まかせにせず、自分たちで新しい市場を作ってやってきたノウハウ、これが3つ目の強みです。昨今、SDGsとか循環とか、そういったことが、必ず必要であるという世の中になっていて、そこで、皆さんのニーズに応えたいと思ってます。
1つ、最後にお話ししたいのが、ちょうどリリースしたばかりの取り組みです。JR東日本さんが、リンゴのお酒を作ってます。その工程から年間何十トンと出る粕、これを発酵して、蒸留して、エタノールを作りました。このエタノールを使って、おしゃれプロダクトにしています。来週の月曜日から、ルミネさんとか、JRさんの持ってる販路で売る予定にしています。
ファーメンステーションっていうのは、「発酵の駅」っていう意味ですが、みなさんの、お力も得ながら、こういう未利用資源を活用する駅を、どんどん増やしたいと考えてます。なので、原料がある方とか、出口がある方とか、お話ししたいと思ってます。以上です。
宮内
はい、ありがとうございます。非常に、面白いプロダクトをたくさん持たれていますね。今回のお話でもまた、新たなプロダクトが生まれたらなと思って、楽しみにしています。
地方の雇用を生み出す、農業のあり方
宮内
続きまして、アグリみとの草野さんより、自己紹介をお願いします。
アグリみと・草野祐一氏
みなさん、こんにちは。有限会社アグリみとの、草野と申します。島根県の益田市より参りました。意見交換させていただきながら、いろいろなことを吸収して持って帰りたいと思っています。
益田市は島根県の西部のほうに位置しておりまして、人口は4万7000人です。高齢化率は36パーセントということで、どこの地方部でも同じように、高齢化が進んでいる地域でございます。ただ、幸いにして、空港が市内から15分圏内にあります。そこから東京の往復が1日2便動いておりますので、利便性はいいのかなあと思っています。また、清流日本一になった、高津川がありますので、水もきれいないい地域だと思っております。そのなかで、私は農業をやっています。有限会社アグリみとは、市内から15分ぐらい車で山のほうに走ったところにあります。田んぼも山のなかですので、一枚一枚を大きくすることができなくて、畑作物のように大規模に何かを作って経営の効率向上を図って利益を上げていくというのが、難しいかなあというような状況です。
また、日本海側の、山陰に位置しておりますので、冬場は雪も降ります。そうなってくると、冬場作物を作って、年間を通して物を作っていくのが難しい環境です。そのため、どうしても、利益を上げていこうと思えば、面積あたりの収益が高い、例えば、トマトであったり、イチゴであったりを作っていかないと難しい状況です。それで、うちでは、イチゴの生産を行なっております。
イチゴの栽培は、高設栽培にして作業性を良くしながら収穫しています。今年栽培面積を拡大しましたので、栽培の効率化を図る必要があります。イチゴの場合、収穫が12月から6月近くまでありまして、その後は苗を作って9月に植え付けをして、また12月に収穫を迎えるため、1年中作業があります。その苗作りの作業の手間を省くために、直接、その栽培をするベンチで、苗を作りながら、イチゴの栽培を行なうことで省略化を図っております。
イチゴ以外のところでいきますと、ベビーリーフですね。非常に簡単に、野菜を食べれるので、人気があります。これも1年間通して、栽培を行っております。地面に、種をまいて芽が出てきたベビーリーフを、刈り取って、選別を行なっています。地元の定年を過ぎたおばちゃんたちをですね、午前中の少しの時間、雇用して選別出荷作業を行なっております。
あと、お米ですね。水田でお米を作りまして、普通はそこで終わるのかもしれませんが、うちの場合は、お米が終わったあとにスイセンの球根を作っています。ですので、お米が、9月、10月に収穫になるんですけども、それが終わったらすぐ、畑を耕して、球根の植えつけを行ないます。3月ぐらいに花が咲いたものを、5月に球根を掘り上げて、選別して出荷するんです。球根を掘り上げたあとに、また、畑をすぐ耕してまた田植えをして。うまく回るときには、それで、2年間で、お米を2回作って、球根を1回作っています。なるべく、畑を休ませることなく、利益が上がるように栽培を行なっております。
こうして、1年間、何かしら作業をつくっていうことで、地域に対しても雇用が生まれてきて、そうするなかで、人が働ける仕組みができていくんじゃないかなあと思っております。どうしても、山間地ですし、益田市自体高速道路が通ってませんので、企業を誘致して雇用を増やしてっていうのが、なかなか難しいかなあと考えています。また、幸い、人口も減ってきて、農家のほうも担い手が減ってくるので、畑は充分余ってきます。その畑をいかに活用して、地域を守っていくことができるかなあということを考えながら、取り組んでいます。
本日、未利用資源の有効活用ということで、このあと、いろいろな意見交換をして、何かしら、活用できるものがあって、盛り上げていけるのではないかなあと思っております。
宮内
はい、草野さん、ありがとうございます。ぜひ、生産者視点で、未利用資源がどう使えるかを、教えていただければなと思っております。
地域農業の抱える課題
宮内
では、早速、セッションのテーマに入っていきたいなと思っています。
まず、みなさんに聞きたいのが、地域の農業の課題ってどういうものがあるのか?
草野さんにおうかがいします。先ほど、山間地では大規模化が難しいというコメントをされていましたが、それ以外にも、何か抱えている課題は、ありますでしょうか。
草野
地域農業の課題としては、大規模化が難しいということと、あと、高齢化が進んでいるなかで、担い手が少ないというものもあります。なんで担い手が少ないのかを考えると、純粋に人口が少ないのもあるんですけども、農業を生業としようという人が地域で少ないのかなあと。農業をしていた親世代も自分が大変な思いをしたので、子どもにそんな思いをさせてまで、地域に残ってやらせたいと思わないっていうのが増えたのかなぁと思います。それで、なかなか担い手が増えてこないのかなと思います。
あと、どうしても農業をやってるなかで、出てくるゴミですね。作物を作って、それが全部売れればいいんですけども、例えば、よく言われるのが、キャベツとかを作ったけども、天候が良すぎて、出荷するより廃棄したほうがいいっていう状態とかもあったりします。お米であっても、藁が出てきたり、籾殻が出てきたり、糠が出てきたりですね。その活用という部分では、充分しきれていないなあという部分があります。そう言った捨てるものを、うまいこと活用しながら、農業の儲かる仕組みができてくれば、また、魅力的な、産業になってくるんではないかなと考えております。そうすることで、担い手というものも増えていって、地域でも生計が成り立つ仕組みができてくれば、田舎にも人がまた住み着いてくるようになってくるかなと考えております。
宮内
ありがとうございます。農業においてもゴミは、まだまだあまり活用されていないということですかね。あの、捨てているというのは、畑にまいたりしているということですか?
草野
米の籾殻でいうと、そのままでは分解されないので、畑にまいても、逆に作物の生育を邪魔してしまう。分解するために、窒素を奪ったりしますんで。それを、防ごうと思えば、もう結局、山積みになったまま、放置してしまうんですね。米ぬかであれば、まいてしまえば、比較的分解はしやすいので、活用の仕方はあるんですけれども、籾殻となってくると、なかなか活用ができないですね。
宮内
なるほど。ありがとうございます。酒井さんはよく生産者の方と、接されてると思うんですけども、東北地方の特有の課題はありますか。
酒井
東北地方特有かはわからないんですけど、私たちがご一緒してる集落のみなさんは、もう平均年齢70前ぐらいですし、若い人がいない。若手の農家グループの人たちと会うと、すごい張り切ってるグループももちろんあるけれども、販路に課題があるとか。
あと、私がすごい感じるのは、わりと外の業界の人との接点がない方が多くて。私がちょっと役割を果たせてるなと思うのは、農業とは関係ない、化粧品とか雑貨とか全然違う人たちを呼ぶことで、外の業界のことを知ってもらえることかなと思います。そういう出会いを通じて、こういうやり方したらいいんだなとか、自分たちのこういう生産の仕方が売りなんだなとか、思わぬとこから販路が出てくるとか、というのがあります。交流がちょっと足りないところが多いんじゃないかなあとは思います。
宮内
なるほど。ありがとうございます。酒井さんが最初、東北で始めようとしたきっかけはあるんですか。
酒井
私は、金融をやめて、東京農大で発酵の勉強をしてまして。そのときに所属してた研究室が、岩手県の奥州市と共同研究をすることになって、私もメンバーになったっていうのがきっかけです。なので、私が行ったときには、もうすでに、やる気にあふれたメンバーがいて。よく、「入るのに苦労されませんでしたか?」とか言われるんですけど、全然苦労とか無かったですね。
植繊機で処理をした竹を農業に活かす
宮内
萱場さんにおうかがいします。植繊機はいろんな地域の方が、使っていらっしゃるとうかがったんですか、実際に地域農業でどのような使われ方をしているんですか?
萱場
植繊機は自治体に導入されている場合が多いですね。各自治体で、それまで一般廃棄物として処理していた、公園や街路樹、そして家庭から出てくる剪定を植繊機に通して腐葉土の様な状態にするために使ってもらっています。西日本だと竹などを処理することも多いようですね。
宮内
先ほども、草野さんが言われていた、籾殻、なかなか分解しづらいということでしたが、籾殻を処理する事例もあるんですか?
萱場
そうですね。植繊機はJAさんがやっているライスセンターにも導入されています。ライスセンターには大量の籾殻が眠っていたんです。従来はその籾殻を地元の畜産農家さんに水分調整剤で渡していたみたいなんです。ただ、そのままだとあまり水分を吸収しなかったんです。それを植繊機で処理すると、水分の吸収性が高くなって保水性も良くなります。さらに発酵もスムーズに行くようになっています。
宮内
籾殻に対しての活用も進んでるんですね。先程、竹の話も出てきましたね。草野さんに聞きたいんですけど、竹ってやっぱり、やっかいものなんですか?
草野
竹は一度生えてくると根が広がっていくんですよね。成長も早くて、どんどん大きくなってしまう。筍を掘っていけばまだいいのかもしれないんですけど。実際にはすぐ竹林になってしまう状況で、人も入れなくなります。そうなるとイノシシが出たりと鳥獣害で悩まされることもあります。山を守っていくためには竹の処分も必要になってくるかなぁとは思っています。
宮内
ありがとうございます。実際に、竹の害があるんですね。酒井さんのところはどうなんですか?東北はあまり竹がないって噂を聞くんですけども。
酒井
いや、ありますよ。「これは、やっかいだよね、課題だよね」って言ってる人もいるけど、それがどこまでの規模なのかは、わからないですね。筍を毎年もらうんですけど。あ、竹はエタノールの原料にもなりますね。
宮内
萱場さんも竹は多糖類を含んでいるとおっしゃってましたね。実際に竹を発酵させて、何かに使われている方とかいらっしゃるんですか?
酒井
エタノール業界では、竹を原料にという話は、たぶんけっこうあります。実証実験されてる方もいらしたと思いますよ。その場合、破砕と分解のところが、けっこうネックになると思います。だから、けっこう植繊機に興味あります。やってみたいですね。
宮内
じゃあ、ぜひ、竹を、植繊機で粉砕してみて、発酵させるっていうところを試してみてください。面白い結果が出るんじゃないですかね。
酒井
はい、いけるかもしれないです。やってみたいです。
宮内
萱場さんのところで、実際にアルコール製品を作ってみたいという相談が来たりしますか?
萱場
そうですね。そういったお話をいただくこともあります。今日実は植繊機で処理後の竹を缶につめて約三週間おいたものを持ってきてるんです。中身がどうなってるか私自身もわからないんですけどちょっと開けてみませんか?
宮内
ぜひ試してみましょう。開けたものを会場内で回してみてください。今、竹の話をしていましたが、それ以外にも地域に眠る未利用資源ってたくさんあるんじゃないかなと思います。酒井さんにお伺いしたいんですけど、いろんな地域の未利用資源の利用についての相談ってあるんでしょうか?
酒井
はい、すっごい来ますね。トマトの茎とか、わさびの使えなくなった部分とか、ベリー類とか、農産物はちょっと傷が付くともう売れなくなってしまうので相談が多いですね。それ以外にもホヤとかの話もありました。ここまで来ると糖質とかエタノール化とか少し関係ないですよね。そんな中で、実際にやったことがあるのは、りんご、梅、桃、柿、メロン、スイカ、それに野菜もいろいろやりました。
宮内
結構やられてますね。
酒井
そうですね。無下に断るのもなあと思って、面白いもの出てくるかもしれないし。とりあえず原料を少し送っていただいて、簡単なラボの試験をしてみて検討してますね。それで、私たちのデータベースとして、残しておいてます。それで、通常のエタノールや蒸留粕といった製品を提案するときに合わせて、「こんなものもありますよ。」とか言うと、そこから引き合いがあることもあります。最近では、山葡萄の種だけ集めてほしいとか言うこともありましたね。
宮内
なるほど。草野さんにもお伺いしたいんですが、生産者の立場から見て、ご自身の地域にはどのような未利用資源がありますか?
草野
私が住んでいる地域では、ゆずが特産となっています。そのゆずの剪定した枝なんかはゴミとして出ています。ゆずの枝ってすごい棘があるんですよね。それ以外にも、JAでゆず酢を作って販売しているんですけど、その時の残渣なんかもあります。それに関しては、ある程度は畜産の餌になっていたり、きれいな部分は加工に回っていたりするんですが、こういったゆずのゴミを活用できると良いのかな後思います。あと私がやっているイチゴに関して言うと、収穫後には木が残るんですよね。それをそのまま畑に混ぜ込むと病気の原因になったりするので、外に持ち出すんです。それらも細かく砕いて、堆肥として化学肥料の代わりに使うことができれば、循環の形が出来て持続的な農業ができるのではないかなと思ってます。
宮内
それらの未利用資源も植繊機を使ってみると、どれぐらい分解が違うのか見てみたいですね。萱場さんのところでは植繊機をかけたものとかける前のものでどのくらい違うのかというデータってお持ちなんでしょうか?
萱場
自治体に植繊機が入っている大きな理由が街路樹の剪定の資源化です。街路樹と言っても広葉樹系から針葉樹系まであるんです。特に針葉樹に関して、これまで自治体が破砕したり、粉砕したりして、農地に入れるというようなことをしていたんですけど、何年経っても腐らなくて害を起こすことがあったんです。それで、農業の現場から嫌厭されていたこともあったみたいなんです。ただ、針葉樹であっても植繊機で処理すると、微生物が付きやすい状態になって問題なく腐ってくれるという状況になります。
宮内
実際に畑にまいても問題ないんですかね。まいてみたらどうなるか知りたいですね。例えば竹であったり、残渣であったりを植繊機で処理して農地にまいてみた結果のデータとかお持ちなんですか?
萱場
データというわけではないんですが、実は植繊機で処理した竹を農業に使われている方に来てもらっていますし、実際に作っているものも届けてもらっています。
福島県の伊達市からイチゴを、愛媛県からはデコポンを鳥取からはお米が届いてます。ぜひご賞味ください。
宮内
ちょっと食べてみましょう。イチゴに対する草野さんの評価も気になりますね。
萱場さん、もう一つお伺いしたいんですけど、その竹の処理物を使った農家さんから何か変化があったという声はあるんですか?
萱場
果樹をやってる農家さんが多くて北は山形でさくらんぼの佐藤錦を作ってる方、南は鹿児島でマンゴーを作ってる方もいます。詳しくは分かってないんですが糖度が上がったりするんだろうと思います。あと、土ですね。竹自体には肥料分はほとんど無いんです。ただ、それを土壌に置くことによって、土壌の微生物性が改善されるんじゃないかなと思っています。
宮内
なるほど、果実の糖度や、土壌の微生物叢。皆さん竹の処理物をどの様に畑に使っているんですか?畑に撹拌して入れ込むのか、表面に撒くだけなのか。撒くだけだったら気軽に始められそうな気もします。
萱場
例えばお米を作っている農家さんですと、土の中に鋤き込むんではなく、表面に巻いて使っています。理由は、竹の処理物を発酵させず生のまま使っているんですよね。それを土に鋤き込んでしまうと、窒素飢餓やガス障害を起こすので土の上に置く形で利用しています。逆に言うと、手間がなくて使いやすいと思います。
宮内
ありがとうございます。非常に簡単にやれそうですね。
草野さん、持ってきていただいた産品を召し上がっていただいていかがですか?萱場さんがすごく気にしていますよ。
草野
まずはイチゴですけど、ここまで持ってくるためにはおそらく3日、4日は経ってると思うんですけど、果肉もしっかり身がありましたし、香りの方もしっかり余韻がありました。それと、今の時期だとイチゴの木の方に栄養を持っていかれて甘みが落ちてしまうことがあるんですけど、これは甘みもありました。きっとイチゴの木が健全な状態で生かされながら栽培できてるんだろうなと思いました。
宮内
ありがとうございます。竹パウダーすぐにまいて使えるみたいなんですけど、チャレンジしてみたかったりしますか?
草野
そうですね。いきなり全部やるのは難しいですが、一列だけでも試験的にやってみるのは良いですね。イチゴの場合はすぐに結果が見えてくると思いますので、それで実の味であったり木の立ち方であったりを比較してみたら面白いかなと思ってます。
宮内
いい結果が出そうでワクワクしますね。草野さんはベビーリーフもやられているというお話でしたけど、葉物系で竹のパウダーを使っている事例ってあるんですか?
萱場
ベビーリーフを作っている農家さんもいますね。その農家さんはベビーリーフの連作障害が起きないみたいですね。収量、日持ちもいいみたいです。それが不思議で、いろいろなところに講演で呼ばれているみたいなんです。だから葉物に対しても何らかの効果を示すんだろうなと思っています。
宮内
なるほど、連作障害とか日持ちはベビーリーフで課題なんですかね?草野さん。
草野
そうですね、ベビーリーフはひたすら種をまいて、収穫して、また耕して、種をまいてを繰り返すんです。その中で出来が悪いところはどんどん出来が悪くなって、病気が残ってしまう可能性もあるんです。そういった中で連作障害が起きにくいっていうのは作る側としても良いなと思います。あと日持ちについては、ベビーリーフは時間との勝負なんです。輸送して店頭に並んで売れるまでの時間がかかれば、どんどんしなびてきたり、ひどい場合は中がとろけてきたりするんですよね。なので、一日でも日持ちが良くなればロスも減ってきます。買う側にとっても何日か経っても食べれる方が喜ばれると思うんですよね。
宮内
なるほど、竹パウダーが実際に連作障害や日持ちを改善するなら面白いですね。
酒井さんの方では、お米を作っていると思うんですが、竹パウダーを撒いてみるとなにか変わったりするかなと思うんですが、どうですか?
酒井
そうですね、農家さんに話してみたいと思います。ただ、うちの場合課題があって、JAS有機認証をとっているんです。JAS有機認証は地力を上げて、化学肥料に頼らない生産をするっていうコンセプトなんですけど、しっかりとした説明がある原料しか使っちゃいけないんですよね。新しいものを使おうとすると、それが問題ないという証明をいっぱい出さなくてはいけなくて。だから地域資源を使って土作りをしたいと思うんですけど、そうするとかえってややこしくなるみたいな課題があるんです。ただ、自分たちで処理をすれば大丈夫なんですが、農家さん単位でそれを実現する装置を入れるのも難しいですよね。興味はあるんですけど。
宮内
萱場さん、実際にJAS認証を取っている方で、竹パウダーを使っている事例ってあるんでしょうか?
萱場
JAS認証となると実はとりにくいのが正直な状況だそうです。
宮内
なるほど、別の方法を考える必要があるんですね。
未利用資源の可能性を広げる使い方とは
宮内
もう少しいろんな未利用資源の活用をお伺いしたいなと思います。酒井さんのところでは、リンゴの搾り粕を肥料にされているということだったと思います。未利用資源って使いづらいなとか、やっぱり地域で使っていかなければならないなといった思いはあったりしますか?いろんなことをうまくクリアされて飼料として畜産に利用されるなどに至ったんですよね。
酒井
はい、飼料化についてもエタノールを化粧品原料にしたのと同じアプローチで、出口から始めたんですよね。特にニワトリは近隣にご協力いただける平飼いの養鶏農家さんがいたのでやりやすかったです。ただ、牛の方は苦労しました。牛は1頭何百万とかの世界なので、新規性の高いものへのチャレンジに抵抗を示す方は多いです。私たちの工場がある場所は前沢牛の有名な産地なんですけど、前沢牛は決まっている配合飼料があるので、違うものを使って変な牛になってしまったらどうするんだ?という声があって、もう何年も経っているんですけど使えてないですね。
そんな中で、新しいものを試したいっていう牛農家さんからお声がけ頂いて。やっぱり地域のもの、地域の未利用資源を使っていい餌を安定して作りたいって思った若い農家さんがいたんです。
牛肉って農家さんが出荷したら、それを例えば品川で屠畜して、さらにそれをさばく業者さんがいるんです。その業者さんの中に女性がいて、彼女と農家さんと、私たちでタッグを組んで進めてきました。さらに課題だったのが牛の場合は単純に飼料が作れなくていろいろと配合しないと行けないんですね。それに関しては私たちの工場の近くにたまたま牛専門の配合飼料屋さんがあって、そこがオーダーメイドで対応してくれたんです。そんな形でようやく実現できたのが牛に飼料を与えた事例です。
そうして出来た牛に関してもやっぱり出口をちゃんと考えないと行けなくて、去年弊社ではクラウドファンディングで牛の半身を購入しました。ほんとは一頭買いたかったんですけどね。これもすごい重要なことだと思うんですよね。牛って特定の部位に需要が集中しているんですけど、色んな部位をまとめて購入する。それを色んな部位をまとめて、一般の方に牛福袋的に5千円で販売しました。どの部位が来るかわからないけど、地域循環から生まれた美味しい肉ですといった形で提供しました。この取組って実は牛業界で話題になったみたいで、なんとなくうまくいきそうだなと感じて、今後もやりたいなと思っています。
宮内
そういう取り組みはもっとやられているのかなと思ってたんですけど、実は新しいことなんですね。
酒井
そうですね。牛って使う人と生産地の分断がたぶん結構大きくて。レストランは「ここだけちょうだい」っていうことが多いみたいですよ。
宮内
そうなんですね。竹のパウダーについても、家畜の飼料にした事例ってあるんですかね?
萱場
粗飼料としてテストしたことはあります。当時広島大学に居た先生が、植繊機で処理した竹の給餌試験をしてくれました。あとは鹿児島農大では植繊機を使ったもののサイレージ化について研究されています。
宮内
なるほど、研究現場ではデータが溜まりつつあるんですね。
益田市も結構、畜産やってますよね?作物の残渣であったりを畜産に利用してもらうのは盛んですか?
草野
益田では養鶏と牛を行っています。豆腐を作っているところがあるので、そこから出るおからを牛の飼料にしたり、先程紹介したゆずについても皮を飼料にしたりしていますね。牧場の方にとっても輸入飼料が高くなってきていることもあるし、地元で出てきたものを活用できるのは良いんだろうなと思いますね。
宮内
なるほど。竹について植繊機を通すと、農作物の肥料や畜産向けの粗飼料として使えるんじゃないかといった意見がありましたね。未利用資源の竹を牛の餌として活用して、その牛から出てくる糞を地域の農業の肥料として活用する。そんな循環型のモデルも描けそうだなと考えています。萱場さんはどう思いますか?
萱場
今日は竹を植繊機で処理したものは農業現場で使われていることをお話させてもらいました。で、今日のセッションを通して、それ以外の可能性もあるんじゃないかと思っています。さっきの竹の粉末の缶詰ですが、少しアルコールの様な感じの香りがしてましたよね。これって普段こういう破砕、粉砕をしている中では出てこない香りなんです。通常はあんまり嗅ぎたくない匂いになるんですよね。つまり植繊機での処理は通常の破砕、粉砕とは違う効果があるんだろうなと思っています。そこにこの機械の可能性がもっとあるんじゃないかと感じています。
宮内
ありがとうございます。これから実証していくと、もっと面白いことが分かってきそうですよね。まずは益田のアグリみとさんのところでの実証も一つですし、リバネスでも益田で牛を飼っているので、そこでの利用も試せるんじゃないかなと思います。
最後に、登壇していただいた皆さんに未利用資源の活用を考えたとき、今後どんな人と組みたいか、どんな研究をしてみたいかということをお話いただければと思います。ここにはいろんな研究者の方が来ていますので、セッション後にぜひ積極的に交流してください。
それでは萱場さんからお願いします。
萱場
本日はこのセッションに参加していただき有難うございました。私たちアーステクニカは千葉県の八千代市に工場を持っています。その工場の中に植繊機のデモ機がありますので植繊機にかけてみたい未利用資源をお持ちの方、ご存じの方はぜひお声がけください。日本だけでなく海外にも目を向けていろんなものを処理しながらデータを蓄積していきたいなと思っています。
宮内
ありがとうございます。粉砕したいものがあれば八千代へ、ですね。
次に、酒井さんはいかがでしょうか?
酒井
言いたいことがいっぱいあります。まず萱場さん、粉砕したいものがあるので別途ご相談させてください。私たちは微生物に強い研究者、機能性の分析や検出、探索といったものにご興味がある研究者を探しています。それ以外にも、これから私たちは食品の原料やサプリメントの原料としてのエタノール利用も考えています。それに対してアイデアや課題を教えてくださる方もいたら良いなって思っています。未利用資源の入り口の相談はすでにいっぱいいっぱいになっていますので、それについては将来的な可能性として伺えればと思います。それと、私たちのサステイナブルな取り組みから生まれた商品にご興味のある会社さんとかも大募集中です。あとは、今、弊社は常勤、非常勤問わず働く人、サポーターを絶賛募集中です。オンラインでも良いのでご興味ある方いましたらお声がけください。
宮内
ありがとうございます。ちなみに、今、何名でやられていたんでしたっけ?
酒井
いま岩手に3人半、東京に2人さらに2人来ることになっていますが、全く足りていないので募集中です。
宮内
わかりました。あてはまる部分がある方はぜひお話いただければと思います。
最後に草野さんお願いします。
草野
私たちは生産者側ですので、常に新しい技術にアンテナを張り巡らせてはいるんですけど、なかなかそういった技術が入って来ないんです。農家同士だと技術を隠したがる部分もあるので、研究者の方で現場で実証してみたい技術がある方は喜んで応じたいと思っています。
また、農業への付加価値として医療分野での活用もできるんではないかと考えています。例えば農作物の成分がすごいとかいうこともあるでしょうし、農業という自然と触れ合う活動自体が人の寿命を伸ばすこともあるんじゃないかなと思っています。そういった意味では最先端は田舎にあるというように思います。これからの日本の新しい形を田舎で実験してみたいなという方がいらっしゃれば、ともに協力してやってければと思いますので、そういう話もいただけるとありがたいです。本日はありがとうございました。
草野
ありがとうございます。実証したいなら、ぜひ、益田へ。リバネスはすでに益田で始めています。
本日は、ありがとうございました。ぜひここから、連携の輪が広がればな、と思っております。
株式会社アーステクニカ 営業部 環境営業課
萱場時男(かやば・ときお)氏
草本系の資源化技術として膨潤処理機(商標名‐”植繊機”)を製造し、 自治体の剪定枝資源化設備を展開。草本系の原料を圧縮・混練・解繊・昇温することで性状に大きな変化を起こさせる。今後竹の活用・エリアンサスの活用の前処理技術として展開される事を目指している。
株式会社ファーメンステーション 代表取締役
酒井里奈(さかい・りな)氏
未使用資源からエタノールと蒸留粕を製造する地域循環システムを展開。米由来のオーガニックエタノールや蒸留粕は化粧品や雑貨の原料として大手化粧品メーカーに販売する他、大手セレクトショップ向けのオリジナル商品の企画販売も実施している。廃棄物ゼロ、小スケールで自立可能な地域循環型システムを国内外に展開していく。現在は米が原料だが、今後は多様な原料を利用して付加価値をつけるプラットフォームを目指す。
有限会社アグリみと
草野祐一(くさの・ゆういち)氏
「アグリみと」は、島根県益田市美都町を中心に、イチゴ、ベビーリーフ、水稲、水仙、茄子等の農産物の生産と販売を行う農業生産法人。中山間地域での農業生産のため、大規模化での経営効率向上が難しい。また冬場は山陰特有の日照が少なく、積雪もあり、通年での作物生産ができず通年雇用も行いにくい。そのような状況のなか、反収が高く冬場に栽培が可能なイチゴで中山間地域における農業生産の展開を行なっている。
株式会社リバネス 研究開発事業部・アグリガレージ研究所 所長
宮内陽介(みやうち・ようすけ)
大学院修士、博士課程において「中国乾燥地におけるダイズの多収栽培技術開発」という研究課題のもと、新疆ウイグル自治区に赴き現地の研究者ともにダイズの多収栽培技術の確立を行った。リバネスでは自身の研究経験を活かし、小中高生と宇宙大豆や国産小麦ゆめちからの栽培研究を行う。現在は、墨田区のアグリガレージ研究所にて、企業やベンチャーとの共同研究も推進する。