超異分野学会

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レポート

2018年10月10日

未知なる海から新たな価値を汲み上げる

海洋を舞台にした新たな技術開発から、今後どのような価値を生み出すことができるだろうか。2018年3月3日、第7回超異分野学会本大会において行われたシンポジウム“未知なる海から新たな価値を汲み上げる”では、日本財団とリバネスが共同事業として支援する海底探査技術開発および海洋での新産業創出のテーマを掲げたスピーカーが登壇し、それぞれの視点から海洋の未来について語った。

 

多様な技術で海底に挑む

 

現在15%未満しか明らかになっていないとされる海底地形図を、2030年までに100%完成させることを目標として、革新的技術の開発を支援するDeSET project。2017年初夏に要素技術の申請を公募し、8月末に実施したチーム形成合宿において申請者が集って侃々諤々の議論を交わした。超異分野学会では、この合宿で生まれた3つのチームの代表から、それぞれの開発内容が発表された。最初に発表した株式会社Full Depthの伊藤昌平氏が目指すのは、海中ロボットが自律的に探査を進めるプラットフォームの構築だ。発電や非接触給電、通信機能を備えた船舶ロボットや海中ステーション、安価な海中ロボットからなるシステムを作り、世界中の海に配備することで、常に探査が進む状況を作りたいと話した。次に登壇した株式会社アクアサウンドの笹倉豊樹氏は、超音波探査装置(ソナー)の発振を従来の数十~百倍も高速化する技術を開発。これを中心としつつ、生物エージェントの利用や衛星画像を用いた深度推定技術を合わせて、浅海から深海まで幅広く対応する海底探査技術の開発を目指している。エコモット株式会社の庄内道博氏は先の2者と異なり、実際の観測でなくAIによる既存地形図の超解像技術の開発を中心とする。既知の精細マップと粗いマップのセットを教師でータとし、粗いマップのみしかない海域についても高精度な推測地形図を作る。技術開発の中では、推測地形を実測してフィードバックも行い、推定精度を高める予定だ。

 

知識の基盤を作り、価値創造を加速する

 

シンポジウム後半には、海洋を舞台にした新産業創出を加速するマリンテックグランプリから2名が登壇。龍谷大学の山中裕樹氏は環境DNAを利用した水中生物モニタリング技術と、それを世界に広めることによる生物資源調査の新しいパラダイムのビジョンを語った。長浜バイオ大学の小倉淳氏はヒメイカ由来の医療用接着剤開発について話し、基礎研究の成果を産業化に結ビつける夢を会場に伝えた。今後、詳細な海底地形図という知識の基盤ができ、人類の海に関する知識が増すことで、今はまだ利用しきれていない様々な資源の利活用が加速するはずだ。その流れの中、研究フィールドとしての海の魅力も増していくことは間違いない。