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第七回超異分野学会レポート

2018.06.22
第七回超異分野学会レポート

2018年3月2日(金)、3日(土)に実施した第7回超異分野学会 本大会は、「人とは何か、そして人を取り巻く研究へ」という大会テーマのもと、859名という過去最大(2017年比で170%増)の参加者が集まり、アカデミア、ベンチャー、事業会社、町工場、教育機関という参加者どうしの立場を超えて、新たなコトを仕掛ける議論が繰り広げられた。

次ページからは、その様子の一端を「最先端研究のシャワーを浴びる」、「新しい研究開発の形」、「未来の世界を想像する」、「コトを仕掛ける自治体、町工場」、「テクノロジーベンチャーを通して世界を知る」、「コミュニケーションを軸に知識、組織、人の成長を考える」、「次世代の研究者たち」という7つの視点にわけてダイジェストで紹介したい。

【実施概要】

開催日時2018年3月2日(金)、3日(土)9:00〜18:30
開催場所TEPIA先端技術館
大会テーマ]人とは何か、そして人を取り巻く研究へ。
主催リバネス

[セッションパートナー]

日本財団/味の素株式会社/小橋工業株式会社/
株式会社シグマクシス/三菱電機株式会社/
Project MARS - Education League JP -

[ポスターパートナー]

協和発酵バイオ株式会社/
サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社/
日本ハム株式会社/パーク24株式会社/
株式会社日立ハイテクノロジーズ/古野電気株式会社最先端研究のシャワーを浴びる

リバネス研究費の採択者らによる口頭発表、今大会から始まったアカデミアの研究者やベンチャー、事業会社の研究者らが自身の研究の熱を3分で表現する「テクノロジー・スプラッシュ」によって、熱とともに様々な最新研究の話題が参加者に降り注がれた。そして、2日間を通して開催されたポスター発表では、アカデミアの研究者、ベンチャー、企業研究者に混ざり、高校生、小学生の研究チームまで加わり、他の学会では体験できない知の空間が作られた。


「テクノロジー・スプラッシュ」には43テーマが集まり、隣に座る参加者どうしの議論も盛り上がった


アリの社会構造、概日リズム、腸内細菌叢、遺伝子治療、日本の研究コミュニティの分析など多様なテーマで9演題の発表が行われた


︎99の演題がアカデミア、ベンチャー、大企業、中高生、小学生から集まった<br />
「ポスターセッション」

新しい研究開発の形

これまで出会う機会がなかった分野・業種の間で研究開発チームを作ることで、技術開発は加速されるのか。コミュニケーターの介在によって、異分野融合による研究開発を促進する仕組みをリバネスでは模索している。関連する活動のセッションが大会2日目に行われた。ひとつは、未だ海全体の約85%で高精細な情報が得られていない海底地形の計測と地形図作成を、飛躍的に加速させうる技術を開発するプロジェクトとして2017年から始まった「DeSET」。もうひとつは、町工場の匠や、学生・研究者がチームを作り、大企業の既存特許技術の新規用途を2ヶ月にわたって考えた取り組み「三菱電機アイデアプラス」だ。

超異分野チームによる海底地形図作成の技術開発「DeSET」

 

町工場、学生・研究者のアイデアと会場のアイデアが融合した「三菱電機アイデアプラス」

 

未来の世界を想像する

テクノロジーによって生み出されつつある新たな肉食文化。生活の中にロボットが当たり前に存在する社会。ヒトとは何か。先進的な研究を牽引する研究者、技術者、アントレプレナーなど多様な顔ぶれで、一歩先の未来について発想を膨らませるセッションが行われた。「細胞農業会議」では、国内外の純肉ベンチャー、国内の研究者らが人工的に肉を作る未来についてそのビジョンを示した。「ロボットがあたり前になる社会」では、企業のロボットエンジニア、ロボットベンチャー、分身ロボットで孤独を解消しようとするアントレプレナーらが、それそれが描く未来のロボットとヒトとの関係について議論を交わした。そして、大会の大トリを務めた「ヒューマノーム研究、始まる」では、エピゲノム、腸内細菌叢、睡眠、骨など、ヒトに関わる様々なデータを統合、分析することでヒトとは何かを考えるヒューマノーム研究のコンセプト、そしてこれからどのような挑戦が始まろうとしているかが語られた。


ヒトとは何かを考える「ヒューマノーム研究、始まる」


参加者に純肉という考えをインプットした


登壇者のロボット感が飛び交った「ロボットがあたり前になる社会」

コトを仕掛ける自治体、町工場


「シグモイド曲線の向こう側」

地域に眠る技術シーズを発掘し育てることで地元を活性化させられるのは、大都市だけの特権ではない。「シグモイド曲線の向こう側〜科学技術で地域に世界一のネタを作り出す〜」では、地域発のテクノロジーベンチャー、ベンチャーを育てることで地域を活性化することに取り組み始めている自治体、地域に入ってテクノロジーベンチャーの発掘育成を進めてきたリバネスメンバーらによる議論が行われた。また、「大廃業時代の町工場戦略」には攻めの経営をする町工場の経営者4人が登壇し、アグレッシブな議論が展開された。


「大廃業時代の町工場戦略」

テクノロジーベンチャーを通して世界を知る

国内だけではなく、英国、米国、シンガポール、マレーシア、フィリピンなど海外からもベンチャーが集まってくるのが、前年大会からのひとつの大きな特徴になっている。アントレプレナーがどのような社会課題に目を向けているのか、どのような技術で解決しようとしているのか。さらに、ベンチャーを育てている国内外のアクセラレーターたちが世界をどのように捉えているか。個々人の熱が世界をどのように変えようとしているかに触れる、密度の濃いセッションが展開された。


「リアルテックベンチャー・オブ・ザ・イヤー」


「世界はカオスとどう付き合っているのか?」


「TECH PLANTER World Communication」

コミュニケーションを軸に知識、組織、人の成長を考える

知識や人材といった人の生き方に関係してくるテーマに深く切り込んだセッションが設けられたことも今回の超異分野学会の大きな特徴だ。どのように知識が生まれるのか、人を活かす組織を作るベンチャーの技術、創造的な人材を育む環境、いずれのセッションでもコミュニケーションが根本にあることが改めて認識された。


「最前線の教育現場から想像する、これからの創造的な人材育成」では中学生・高校生研究者らも登壇して議論が交わされた


ヤッホー、ウェーイ、言葉の掛け合いからも知識の創造について考えた「知識社会における働き方とイノベーションを生み出す方法」


︎人材に関わる技術を持ったベンチャーも交えた議論が白熱した「経営学とテクノロジーを活用する、100年続く組織づくり」

次世代の研究者たち


国内外の中高生の英語による研究プレゼンテーションで盛り上がった「Rising Novae Researchers」

超異分野学会に集まるのは大人ばかりではない。中高生、さらには小学生も主役のひとりだ。
ポスター発表には国内の中学生、高校生が集まっただけでなく、リバネスの次世代研究者のための育成プログラムに参加する小学生も一年間の研究成果を携えて参加した。また、国内4ヶ所とシンガポール、マレーシアで開催した中高生のための学会サイエンスキャッスルの最優秀チームが集まり、英語によるプレゼンテーションと質疑応答が行われた。さらに、株式会社日本HPが主催した「Project MARS – Education League JP-」に参加した生徒のうち、最終選考に進んだ高校生たちが自らの構想を発表した。


小学生も混じったポスター発表


自らの構想を会場と議論した「Project MARS – Education League JP–」

大会テーマ:つながる、時間・空間・五感

[開催日時]2019年3月8・9日(金・土)
[開催場所]東京都内(調整中)
[参加人数(予定)]1,000名(両日の合計)
[参加者層(予定)]アカデミア、ベンチャー、大企業、町工場、
中学・高等学校、自治体 ほか

IoT、ラストワンマイル、XR、遠隔医療、テレプレゼンス etc… 近年よく見かけるキーワードに共通したことは、何かと何かをつなげる技術ではないでしょうか。技術の進歩で、これまでつなげられなかったものどうしがつながっていく時代。それは、時間や空間だけでなく、五感までをもつなぎ、人類を現在だけでなく未来ともつなぎ、大きな飛躍をもたらそうとしています。
つなぐことで生まれる価値、それによって社会がどう変化するのか、方法論や技術が勃興している今、未来を創る議論にぜひみなさんも参加してください。
また、ポスター、セッションでは自分自身が持つパッションを広く発信し、これからの研究を一緒に作る仲間を見つけてもらえればと思います。

超異分野学会地域フォーラム開催!

2018年度シーズンは毎年3月に実施する本大会に加え、全国3ヶ所で地域フォーラムを開催いたします。
地域フォーラムでは、開催地域に即した具体性あるテーマを掲げ、関連分野、また周辺領域から
新たな知恵を持ち込める研究者やベンチャー企業等との議論を進めます。

益田フォーラム

URL:https://hic.lne.st/masuda2018/
大会テーマ:技術革新がもたらす医食農連携とコンパクトシティモデル
●日時/2018年8月8日(水)10:00〜15:30
●会場/島根県芸術文化センター グラントワ
〒698-0022 島根県益田市有明町5番15号
●参加対象者/
農林水産・バイオヘルスケア・ロボット技術・ロジスティクス関連の研究者、ベンチャー、県内外の企業、地元の生産者・中高生等

島根県益田市は、萩・石見空港から車で10分ほどの立地にあるものの、日本創成会議により消滅可能性都市の1つとして挙げられています。人口減少、高齢化が著しく、益田市の特徴でもある農業の担い手不足、放置された山林の荒廃等の課題が顕在化しています。
これらの課題解決に向けて、新産業創出の基盤となる研究者の知識を流入させ、地元の資源と掛け合わせることで、独自性のあるプロジェクトを創出します。本フォーラムでは、食と健康につながる研究を重点項目として、医・食・農連環による魅力あるまちづくりを共に推進していくチームの創出を目指します。

企画キーワード

健康寿命の延伸、ヘルスモニタリング、牧草畜産、スマート農業、ロボティクス、食品保存、グローバル展開 etc.

大阪フォーラム

URL:https://hic.lne.st/osaka2018/
大会テーマ:健康を再定義する
●日時/2018年10月13日(土)10:00〜20:00
●会場/大阪府内(調整中)
●参加対象者/
アカデミア、ベンチャー、大企業、町工場、自治体、中学・高校生

健康状態は、定期的な健康診断や不調を感じて病院で検査してもらうものから、自分で知る、デザインするものへと変わりつつあります。古くから食文化や芸能文化の中心である大阪には、今や健康や医療に関わる最先端の研究拠点や、ヘルステック関連企業が多数集積しています。本フォーラムでは、その大阪を舞台に、食、医療、IoT、お笑いまで幅広い話題から、これからの時代の健康とは何かを再定義するための挑戦を行います。

琉球フォーラム

URL:https://hic.lne.st/conference/ryukyu2018/
大会テーマ:東南アジアへのアグリテックの架け橋〜東南アジアの一次産業課題の解決を沖縄から目指す〜

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